いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「アンダークラス」 橋本健二

 

 

 

拝金主義の行きついた先は、資本主義の負の側面の強化であり、陰湿な搾取構造の深化だった。搾取する側は、今や一握りの資本家ではない。一般労働者も搾取する側に回っているという事実が様々なデータから浮かび上がる。正規と非正規の溝は広がり続け、アンダークラスという社会階層を生み出した。利権にまみれ、アンダークラス層に手を差し伸べようとしない政治家や官僚の責任はもちろんだが、私たち一人一人の心の中に寒々とした風景が広がってしまっているのではないか。先の見えない不安から今の自分の立場を死守するためにアンダークラス層を踏みつけにする、そんな空気を一人一人が漂わせているのではないか。

 

アンダークラス層がこのまま放置されるなら、日本社会は間違いなく危機的な状況を迎えるだろう。」

 

「失業者・無業者をくわえれば就業可能人口の二割近くにも達する人々が、不安と苦痛に満ちた人生を送るような社会は明らかに病んだ社会であり、それ自体で社会は危機的な状態にあると言わねばならない。」

 

アンダークラスの問題は、他人事ではない。なぜなら「新しい階級社会」の構造が今のままである以上、誰かがアンダークラスにならなければならないのであり、誰がアンダークラスに転落しても不思議ではないからである。いま私たちがそうなっていないのは、ただの偶然にすぎない。」

 

私たちは、これらの言葉に一刻も早く向き合わねばならない。