学歴エリートとは何なのか。
学歴エリートは、なぜ暴走するのか。
著者は、日本の学歴社会のトップに君臨する東大の卒業生たちが
なぜ就職先に公務員を選び、民間企業においても金融機関などに
こぞって就職するのかを、データをもとに分析し解き明かしている。
また、日本の学歴エリートが、戦後80年近くたった今もなお
戦前の官僚の流れを汲んでいることに言及している。また、明治以降の日本の学校教育の問題が、軍の余剰人員となった下士官を学校に送り込んだことが要因となっていることにも触れている。
いまでこそ、教員の体罰は禁止されているが、30から40年前の私の学生時代には
教員が竹刀や棒を持って教壇に立つのが当たり前の光景だった。あれが下士官の名残だったのかと思うと、あの時代の教員は自分たちがしていることに無自覚であったとしか思えない。そうして、無自覚であったからこそ、彼らは罪深いのである。
昔、勉強したらバカになる、、言われる時代があった。
つまり、これは、正解を追い求めるような勉強ばかりしていると、正解のない不測の事態に陥った時に、思考停止になり、フリーズしてしまうということである。
私たちは、正解のないものが圧倒的に多く、いつどこで何が起こるのか予測できない世界に生きている。東大に入学することが人生の幸せと直結しないことは明らかである。
なのに、なぜ、東大卒がこれほどもてはやされるのか。
そこに、東大をもてはやすための恐ろしき東大話法が存在するという欺瞞性があるのであった。(おお、こわっ。)
この本の最後の方には、植木等の歌が紹介されている。
なぜ植木等に行きつくのか、それは、本著の目指すところであった。
本を読み終え、さっそくYouTubeで、植木等の歌を聞いてみる。
「そのうち何とかなるだろう」
私たち日本人に、今、最も必要な言葉だ。