この本を手に取ったのは
今年が東日本大震災、そして、福島原発爆発事故から10年という
節目の年だったからだ。
あれから10年、言葉で言うのは簡単だが
原発事故の被害者は、どういう思いで過ごしてきたのだろう。
新聞、テレビ、ラジオ、マスコミが伝える報道を目にし、耳にしながら
自分の中に一つの疑念が浮かんできた。
ワタシは、原発事故被害者の実態を本当に知っているのだろうか。
「原発難民」
この衝撃的なタイトルを目にして始めて
この国に難民がいるのだという事実を突きつけられた気がした。
マスコミは、原発事故の被害者を震災の被害者と一緒くたに扱っていると感じる。
津波や地震による被害と違い、原発事故の被害には明らかな加害者がいる。
難民とは、政治的、経済的に住むところを奪われた人たちだ。
原発による被害者は、まさしく難民である。
ワタシたちは、10年前、この国に難民を作り出してしまったのだ。
この本を読み、ワタシはようやくその事実に気がつき、愕然とした。
原発事故によって、難民となった人々が奪われたものは
住む場所だけでない。人生そのものなのだ。
加害者である東京電力と国家機関がそれを自覚しているとは到底思えない。
そして、マスコミの報道も、、
ワタシは、あれから10年など、もう簡単に口にできない。