いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「みんな「おひとりさま」」上野千鶴子

 

みんな「おひとりさま」

みんな「おひとりさま」

  • 作者:上野千鶴子
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 フェミニストは、苦手だ。

だから、上野千鶴子の本は、これまで読んだことはなかった。

フェミニストというだけで、上野千鶴子を敬遠していた。

なのに、今回、彼女の本をなぜか、手に取っていた。

 

それは、ワタシが、年を重ねたからなのか

それとも、タイトルの「おひとりさま」にひかれたのか

はたまた、フェミニスト上野千鶴子への偏見が薄れたのか

どれも正解のようであり、どれも違うようでもある。

 

けれど、敬遠していた理由は、ひとつだけ分かった。

著者の歯に衣着せぬ物言い、相手に嚙みつかんばかりの論調が

ワタシはずっと苦手だった。

 その姿勢が、主張を譲らない、ワタシの母とダブっていたからだ。

 

ワタシは、ワタシの母に子どもの頃から違和感があったのだが

母と子という関係ゆえか、苦手な理由を探し当てることができずにきたが

50年かかって、ようやく、団塊世代として生きてきた一人の人として

見ることができるようになった。

著者とワタシの母とでは、学歴も能力も性格も雲泥の違いはあるが

主張の激しさだけは非常に似ている。

ワタシは、母を遠ざけるように、無意識に上野千鶴子も遠ざけていたのだろう。

 

本著には、女おひとりさまとして生きるすべがいろいろと書かれていて

どの章もとても興味深かったのだが、その中でも特に「世代間対立の罠」というインタビュー形式での章は、上野千鶴子感満載で、非常に面白かった。

主張のぶつかり合いが本質に向かっていくさまが、臨場感あふれていて

苦手だった喧嘩腰の上野の口調が愛おしく感じられてしまった。