子どものこころの発達を知るシリーズ10 ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち: 子どもが社会から孤立しないために (子どものこころの発達を知るシリーズ 10)
- 作者:吉川徹
- 発売日: 2021/01/27
- メディア: 単行本
ゲームやネットと子育てを絡めた本は
たいてい、ゲームやネットの負の側面が強調されるものが多い。
これまで読んだ本もその手のものが多かったし
学校や教育機関から配布されるパンフレットなどは
ほぼ負の側面しか伝えていないと言ってもよいくらいだ。
そして、ワタシも、ゲームやネットの負の側面しか見ていなかった。
子どもたちを、いかにして、ゲームやネットの世界から遠ざけるか。
ともすれば、ゲームとYouTubeで一日過ごしてしまう中学生の息子を持つ
親の一人であるワタシは、彼とは、このことでずっとぶつかりっぱなしだ。
息子をゲームやネットから距離を置かせるためのヒントに授かりたいと
この本を手に取った。
ところが、そんな淡い期待は、本を読み始めた途端、いい意味で裏切られた。
この本は、冒頭に書いたような、ありきたりの本ではなかった。
今の子どもたちにとって、ゲームやネットが不可欠であることを
ワタシたち大人が理解することが、この本のスタートであった。
ゲームやネットを敵視していたワタシは、すっかり出鼻をくじかれた。
けれど、それは、目から鱗、であり、棚からぼたもち、でもあった。
読後、これまでゲームやネットに接する息子を否定的に見ていたワタシの目は
明らかに変わった。そして、その否定的な目は、ワタシの未熟な情報リテラシーからのものであったと気がついた。
本著では、社会的に問題視されているゲーム中毒やネット中毒、それらと不登校との関係性についても丁寧に論じられている。また、全体を通して、断定的論調ではないため、自分の経験と重ね合わせながら、読み進めることができる。
この本は、ネット社会の子育てに欠かすことのできない貴重な一冊だろう。