いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「ゲーム・ネットの世界から離れなれない子どもたち」吉川徹

 

 ゲームやネットと子育てを絡めた本は

たいてい、ゲームやネットの負の側面が強調されるものが多い。

これまで読んだ本もその手のものが多かったし

学校や教育機関から配布されるパンフレットなどは

ほぼ負の側面しか伝えていないと言ってもよいくらいだ。

そして、ワタシも、ゲームやネットの負の側面しか見ていなかった。

 

子どもたちを、いかにして、ゲームやネットの世界から遠ざけるか。

 

ともすれば、ゲームとYouTubeで一日過ごしてしまう中学生の息子を持つ

親の一人であるワタシは、彼とは、このことでずっとぶつかりっぱなしだ。

息子をゲームやネットから距離を置かせるためのヒントに授かりたいと

この本を手に取った。

 

ところが、そんな淡い期待は、本を読み始めた途端、いい意味で裏切られた。

この本は、冒頭に書いたような、ありきたりの本ではなかった。

今の子どもたちにとって、ゲームやネットが不可欠であることを

ワタシたち大人が理解することが、この本のスタートであった。

ゲームやネットを敵視していたワタシは、すっかり出鼻をくじかれた。

けれど、それは、目から鱗、であり、棚からぼたもち、でもあった。

 

読後、これまでゲームやネットに接する息子を否定的に見ていたワタシの目は

明らかに変わった。そして、その否定的な目は、ワタシの未熟な情報リテラシーからのものであったと気がついた。

 

本著では、社会的に問題視されているゲーム中毒やネット中毒、それらと不登校との関係性についても丁寧に論じられている。また、全体を通して、断定的論調ではないため、自分の経験と重ね合わせながら、読み進めることができる。

 

この本は、ネット社会の子育てに欠かすことのできない貴重な一冊だろう。