いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「日本の大問題 ~現在をどう生きるか~」養老孟司 藻谷浩介

とても面白い構成の本。

まず、何といっても、序章が長い。

全221ページ中、なんと60ページがプロローグ。

多くの本で、序章には、たいてい、本が出版されるにいたったいきさつとか

本に対する著者の思いとか、本題に入る前の軽いあいさつ的なモノだと思う。

けれど、本著は、養老氏と藻谷氏の対談本でありながら

いきなり、養老先生の教育論から始まる。それも、中身ずっしり。

 

対談本でありながら、いきなり養老先生の独壇場で始まるのには

ちゃんとわけがあって、理由は、最後のあとがきで明かされることになる。

うーん、なるほど。

 

長いプロローグを経て始まる

対談もとても面白い。

ふたりの話は、現代という時代の確認から始まり

その現代社会が向かう先にあるモノ

そして、その中で生きる私たちのこれからの課題が

さまざまな問題をとおして語られる。

 

原発移民問題、人口減少、人工知能、エネルギー問題

戦争、政治、教育。。

 

タイトルは「日本の大問題」となっているけれど

語られている中身は、ほぼ世界共通の問題だ。

 

日本に関する問題、日本人に関することを

いい意味でも悪い意味でも

日本人は、とかく「日本人は、、」と言いがちである。

それに対し、養老先生は、「それは、日本人だけのことじゃないですよ、、」

さらっと言う。そして、アメリカやヨーロッパなどの歴史に触れながら

では、なぜそれが、日本の問題なのかと説いていく。

 

対談本ゆえに、文体は非常に読みやすいのだけれど

読みやすさゆえに、ついつい油断をしてしまう。

二人の言っていることを見逃してしまいそうになり

あわてて前のページに戻ったり、言葉を咀嚼しながら読んだ。

 

読み終えた後、さまざまな問題の根本は

プロローグで語られた言葉「生きそびれている」と

つながるように思った。

 

さて、ワタシは、この本を図書館で借りて読んだのだけれど

今、この本をアマゾンで検索してみると、ヒットしなかった。

絶版になったのかな。

数年前の本だけど、今読んでも十分に現代社会を認識できるのになあ。