いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「伊藤ふきげん製作所」伊藤比呂美

 

読後の感想は、これに尽きた。

この本にもっと早く出会いたかった。。

 

思春期女子のわが子と向き合う

母と家族の話題がてんこ盛り。

 

書かれている内容は、親として子として

へこみそうなことが満載なのだが

そこはもう、作者の言葉のマジック。

深刻にならず、楽しく読めてしまう。

 

娘の子育てに悩んだとき、どうしていいかわからなかったとき

ワタシが手に取ったのは、「育児書」だった。

たいていの育児書っていうのは、学校の教科書みたいなもので

それも、道徳の教科書っぽい。

人として、母としてのあり方みたいなものが書いてある。

 

子どもとの関係がうまくいっている時なら

育児書なんて手に取ることはない。

育児書に頼ろうとするときは、ずいぶんと心が弱っている時なのだ。

こういう時、教科書を読んだら、どうなる?

正解を突き付けられたら、どうなる?

落ち込むのですよ、、自分とのギャップに。

 

そうして、それから逃げたくなって

うまくいかないことを子どものせいにしたり

はたまた、自分を育てた母親のせいにしたりする。

 

みんな違って、みんないい

 

金子みすゞの詩に感動する社会の一方で

母たるものこうであらねばならないという社会がある。

 

母って、苦しいんです。。

 

子育てで弱っている時、迷っている時

母が本当に欲しいものは

教科書的な正解ではなく

自分を肯定してくれるものであり

自分の頑張りを認めてくれるものであり

誰もが似たような悩みを抱えていると知ることであり

誰もがジタバタしているということを知ることであり

深刻なことを笑いにかえるセンスである。

 

この本には、それが全部詰まっている。

 

ホント、娘が思春期の時、この本を読みたかったなあ。。