いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

母の買物

一人暮らしの母が、車を手放し、免許返納をして約2年。

以来、月に1,2回ほど、母を車に乗せて買い物に行っている。

 

ワタシの実家は、ちょっと不便なところにある。

高台にあって、車が横づけできず

家までは石段を登っていかなければならない。

 

買物をして帰ってきたら、家の下に車を止めて、石段を登って荷物を運ぶので、これが結構な重労働。

 

母との買物が始まったときは、月に1,2回の買物なので、かなりまとまった量を買うことになるだろうなとは覚悟していた。けれど、実際は想像以上。覚悟のうえにもう一段階上の覚悟が必要だったとは、、ワタシの考えはたいへん甘かった。

 

とにかく、母の買物はひとり暮らしとは思えない量なのだ。

しょうゆ、砂糖、酢、サラダ油などの調味料の類を

あなた、本当にひとり暮らし?と尋ねたくなるくらい大容量のモノを買う。

これが重たいのなんの、、

 

そのうえに、先日など、干し柿をするからと、渋柿を10キロ購入。

安い生姜に目がつけ、3キロ入りを2袋購入。

さらに、ミカンを5キロ、ニンジンを3袋、、

もちろん、このほかに生鮮食料品なども買うから、数件の店をはしごして帰るときには、ワタシの小さな軽自動車の荷台と後部座席は、ほぼ毎回パニック状態である。

 

当初は、物がなくなるのが心配で買いだめしているのかなと思っていた。

けれど、毎回毎回、ひとり暮らしとは思えぬ食材の購入。。

いったい何が起こっているのだ、、

 

そして、当たり前のことに気が付いた。

そうか、これは買いだめではなく、これだけの量を消費しているのだ。

 

昔から、母は一日中台所に立って料理していた。

これは家事の一環だろうとずっと思っていたけれど

彼女にとっての料理は、趣味であり娯楽なのだ。

そうでなければ、ひとり暮らしなのに、これほどの食材が必要な理由が分からない。

 

実家に行けば、たいてい大量の揚げ物、大量の漬物、大量の煮物がある。

作ったものを近所の人にあげて「おいしい」と言われたと何気に自慢話を聞かされる。それが、まわりまわって、魚や野菜や米に化けたりと、どうやらわらしべ長者ゲームが繰り広げられている様子がうかがえる。

 

そうか、母のあの大量の買物は、趣味の材料でもあるのだ。

 

料理は認知症予防になるというし、月に1,2回の重労働で、母が元気で、介護が先延ばしになるのなら、これはなかなか良いかもしれない。

いや、それより、母の大量の買物による荷物運びが、ワタシにとっては筋トレかも。。

 

あれま、これは思わぬWinーWinの関係であった。