いのしし日記

ワタシノトリトメナイハナシ

スマホと古畑任三郎

ネットフリックスで「古畑任三郎」の配信が始まった。このドラマは、田村正和演じる警視庁捜査一課の古畑任三郎が持ち前の推理力で殺人事件を解決するという会話劇だ。毎回大物俳優や歌手が犯人で登場し、田村正和の軽妙なセリフと表情で人気を博した。リアルタイムで見ていたアラフィフのワタシにとってはあまりに懐かしく、早速見ることにした。

1話で、土砂降りの雨の中、古畑任三郎が乗った車がガス欠で止まってしまう。近くのガソリンスタンドを「地図帳」で調べ、職場に連絡するため近くにあった家に飛び込み「固定電話」を借りに行く。今のスマホ世代からすれば、「スマホ」を使えばいいのにと思ってしまうシーンに違いない。

場面は進む。電話を借りに行った先の家は、偶然にも殺人事件の現場であった。完全犯罪をもくろんだはずの犯人だったが、交わす言葉や現場の状況などから、主人公古畑は点と点を少しずつ線につなげ事件を解決する。

スマホが誕生し、人間はより便利な暮らしを手に入れ、飛躍的に高い処理能力を得た。けれど、それと引き換えに、複雑な情報を頭の中で右往左往させ、相手の表情を見て、発する空気を感じて、言葉の矛盾に気づいて、状況を読み取って、時間をかけ、粘り強く解を導いていく能力を失いつつあるのではないかと、古畑任三郎を観ながら、なんだかとても切なくなってしまった。