いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

10万円

「ママ、10万円ちょうだい!!」
今朝、キッチンに立つ私の横で、息子が言った。
父からもらったお古の二つ折りの革財布を手にして。

はあ??朝から何を言い出すかと思いきや。
もらった財布にお札を入れたいんだろうか?
それも、10万円も??

「えー、ママ、10万円持ってないよ」と言うと
「この前10万円いっぱい持ってたじゃん。
 ほら、おつりでいっぱい出てきたやつ!!」

先日、自動販売機でジュースを買ったときに
おつりが10円玉でじゃらじゃら出てきたのを見ていた息子から
それ、ひとつちょうだいね、と言われたのをすっかり忘れていた。

「あーー、あの時の10円ね。」
10円玉をひとつあげると
満足そうに、息子はその10円を革財布にしまった。

「お金どうするの?」と尋ねると
「お金を貯めて、ガイムのベルトを買うの!!」との
まさしく5才の男の子らしい答えが返ってきた。

革財布と10万円と10円玉とガイムのベルト
そして、真剣な息子の表情。
それらの言葉と状況の落差に
母はしばし言葉を失った。
それからモーレツに、おかしさがこみ上げた。