いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

水泳

昨夜、スイミングに通う娘を迎えに行った。
車の中で待っていると、息を弾ませ走ってくる娘がいた。
何かいいことでもあったのだろうか。

「上のコースで泳ぐことになった!!」
とってもうれしそうだった。
昨日練習後、コーチに言われたそうだ。
次の大会の後から、上のコースで泳ぐように。
がんばって強い選手について行くように、と。

私は、今までスポーツというものを
自分が学生時代にしていたバレーボールを通してしか
見ることができなかった。
つまりチームスポーツの練習しか知らない。
実力がつけば、レギュラーの6人に選ばれ
さらに実力がつけば、コートの中のポジションが上がっていく。
コートの外から、その中に入ることを目指し
コートの中でもよいポジションにつくことを目標としていく。
しかし、ひとり実力がついたとしても
そこはチームスポーツである。
試合に勝つためには、メンバーともに実力を上げて行く必要がある。
自分だけがんばってもどうしようもない。
ジレンマ。
先日、ワールドカップ進出を決めた、サッカー日本代表
記者会見での本田の姿が、ジレンマそのものだ。
しかし、チームを作り上げて行く練習は、苦労こそ多かれ
楽しさも多い。
サッカーであればゴール、バレーボールであればポイント
キック、アタック、レシーブ、ドリブル
めまぐるしく変わる一連の動きの集結の後に
得点というご褒美が待っている。
それは、試合だけでなく、練習でも味わえる。
そしてそれをチームが一丸となって味わえる。
試合形式の練習は、リセットと構築を繰り返す楽しさをもたらしてくれる。

対して、水泳はどうだろう。
娘を見ていて、すこし分かりかけている。
一瞬のレースのために、ただ黙々と泳ぎ続けるのだ。
時間が体を引っ張って行く。
それに追いつこうと、息を止め、息を吐き
よりベストな体の動きを追求し
ただ水の中で黙々と泳ぐ。
練習ゴールという特典もなく
決められた時間のなかで、ただただ泳ぐ。
チームで泳いでいても、同時に同種の気分の高揚は感じることはなく
内に内に向かって泳ぐ。
修行僧のように。

娘が上のコースに上がったということは
必然的にインターバルのタイムは短くなり
泳ぐ距離は長くなる。
それを喜ぶ娘は、尼僧のようであった。