いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

白雪姫の背中

先日、バレエ白雪姫を家族で観劇した。
家族そろっての初めての観劇である。

普段、ほとんど芸術に接することがなく
日常を淡々と過ごしている我が家族。
最近の家族の関心事は、娘のスイミングの大会。
家族全員の共通の趣味はスイミングなので
休日はほぼ、スイミングに終始する日々が
ここ1年ほど続いていた。

だけど、たまには、日常をしばし忘れたい時もある。
非日常の空間に身を置きたいなあ。
芸術に、それも舞台芸術なんて素敵じゃないの思っていたところ
なんと、夏休みに幼稚園児でも入場OKの本格的バレエの公演があると
知り、早速家族4人分のチケットを購入したのだ。

当日、会場のロビーを埋め尽くすのは、おしゃれな女の子と
きれいなお母さんたちである。
長い髪を高く結い上げ、ドレス様のお出かけ服を着た女の子たちは
一目でバレエをしているのだなあと見当がつく。
こっ、こんな地方で、こんなにもバレエ人口がいるのだと驚いた。
やんちゃ盛りの、丸坊主のわが息子はその場にそぐわず
中学生の娘は、その中ではやや大きすぎる年齢。
ともあれ、デート中だと思われるカップルや
いかにも物見遊山の叔母さまたちの姿もあったのも確かで
そう、浮くことなく、会場の中に吸い込まれた。

バレエが始まる。
本格的クラシックバレエを見るのは、家族全員初めて。
その美しさにうっとりと見惚れ
こんな世界があることを40数年も知らなかったことが
大きな損失のように思える。

同じ人間の体とは思えない身のこなし、肉体美に
目をみはり、人が作り出すもののすばらしさに
ふわーっと吸い込まれ、まさしく非日常の世界を
さまよっている間に、舞台は幕を閉じた。
素敵な時間と空間に酔いしれた家族4人。
帰りの車内で、驚喜の声が最も響いたのは
主人公白雪姫のことであった。

「白雪姫、すごかったねえ、見た!?背中!!
筋肉すごかったねえ。」
興味の主体はどこまでも
水泳につながっていく我が家族なのである。