いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

不審者

朝5時。
今日も散歩を楽しんでいた。
少し前の方を、のんびりと歩いている一匹のネコの姿が目に入った。
真っ白のからだ。
茶と白の縞模様のしっぽ。
おしゃれなデザインをしたそのネコも朝の散歩を楽しんでいるかのようだ。

ネコの後ろに続いて歩く。
縦一列になって、ネコと歩く。
ネコって前を横切るものじゃなかったっけ。
ふとそんなことを考える。
お尻をふりふりして歩くネコに、私はどんどん近づいた。

途端、だらりと下がっていたネコのしっぽは
急にぴーんと天に向けて逆立った。
人の気配を感じたネコは、後ろを振り返る。
目が合った。
すぐに前をむき直し、歩きだすネコ。
しっぽのアンテナの感度を最大にしていることがよくわかる。

そしてのち、ネコは突如立ち止まった。
歩道の端に身を寄せ、私が通過するのを待った。
ネコにとって、私はまぎれもない不審者だった。