いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

冷ややかな手触り

人間ドックへ行った。

初めて行った病院。
ドック用に整えられた病院施設。
手際よく、段取りよく検査は進んで行った。
あっという間にすべての検査終了。

完璧なドックシステムだった。
不満はないのだが、何か物足りない。
なんなのだろう。

最新の機械
親切な対応。
それのどこが物足りないのか。
手取り足取り、親切に対応してくれたスタッフ。
最新の機械を操る検査技師。
その視線の先に、私はなかった。
機械だけを見ていた。
機械に表示される数値だけを見ていた。
その視線の先に生身の人間がいるのだという
まなざしはなく
冷ややかな手触りだけが残った。

過剰な干渉や好奇な目を避けたかった。
そうやって作り出されたいろんな社会システムは
個人情報をいびつな形で隠し
情報漏洩を恐れ
恐れるが故に、人へ興味関心を失うよう
インプットされたかのように振る舞うことが
求められてきた。
そうして作り上げられた
ストレスフリーでスマートなシステムの数々に
一種の危うさを感じるのは
その完璧さと生身の人間との落差ゆえである。

究極を目指した先には
本質が見えた。
システムはまた改善されていくことだろう。