いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

ミラーニューロン

中学の時の部活の後輩には、癖があった。
かわいくて優しくて、たいへんソフトな感じの子だったのだが
何かを見ようとするとき、決まって眉間にしわを寄せた。
かわいい見た目とその癖のギャップがひどく印象に残った。
大人になって、偶然彼女と会ったことがあった。
彼女は、彼女そっくりの4、5才くらいの女の子を連れていた。
そして、彼女の娘もまた、彼女同様
頻繁に眉間にしわを寄せていた。
お母さんの癖をしっかり習得してしまったのねと
不思議に関心した。

先日、知人と話した時、母親の話になった。
その人は、自分の母親が大嫌いらしい。
しかし、その嫌いな母親と似た言動をする自分に気づいて
ハッとした。
「母親に似たくない」
そう思った彼女は、母親と会うことをやめたのだそうだ。
仕方なく用事で実家に出入りするときには
母親のいない時間帯を狙い
極力母親の姿を見ないよう、接触しないよう心がけているそうだ。
その話を聞いたときには、ワハハと笑い飛ばしたものだが
ミラーニューロンのことを考えてみると
彼女の行動はたいへん理にかなっていると言える。

ところで、私自身はと言うと。。
娘も息子もミラーニューロンは大活躍だ。
似なくてもよいところが似るとは、遺伝子の問題ではなく
ミラーニューロンの発達のおかげというところだろうか。。。
私の笑い方(大笑いする時の引き笑い)は、こどもふたりとも
全く同じものだ。
人から褒められて照れくさいときには
鼻の下がぐっと伸びる。
気に入らないことにイライラするときには
決まって鼻の穴がぴくぴくする。
気まずいときには、口元が歪む。
まるで自分を鏡で見ているようなのである。
表情や顔つきだけではない。
怒って感情が収まらない時は、体を動かさず寝てしまうし
機嫌が良い時は、しゃべりがとまらない。
複雑な心境が言葉にならない時は、食べ物に走る。
行動までそっくりである。
「子どもは親の背中を見て育つ」とは科学的に証明されているようだ。

しかし、仕方がない。
こんな母親を選んでしまった君たちだもの。
君たちに私ができることと言えば
早く親元を巣立たせてあげることだけだ。
姿形、そして内面も魅力的な人たちに囲まれたそのとき、
そう、そのときに最もミラーニューロンを働かせてくれ!!
と心から願わずにいられない。