いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

夫婦善哉 考

先日、放送されたNHKのドラマ
夫婦善哉」は、とてもよかったなあ。

大正時代の雰囲気と
大阪弁の心地よさが胸に響く。
ドラマの余韻がいつまでも消えない。
胸打つ作品というのは
しばらく引きずってしまう。
いいものは見たい。
好きな俳優さんも見たい。
いい演技も見たい。
しかし、見終わった後
日常の頭の中で無意識に
非日常を反芻してしまう心地悪さが
ちょっと厄介でもある。

この作品のどこに魅かれたのかと考えてみた。
久しぶりに、男と女の性や心情が
丁寧に綴られた作品を見たように思う。
男と女の存在の本質を捉えてあって
その差異が細かに描かれてあって。
主役の抜群の演技と
配役の絶妙さに引き込まれた。
時代背景とその時代を生きる人の心模様が
入り乱れて素敵すぎた。

女性が見れば、男性の
男性が見れば、女性の気持ちの
深いところが分かる気がした。
男の人ってこんな風に生きてるのねと
愛おしくなる。

なにより私は、森山未来の演技力と
切れ長の目と声が大好きで
このドラマを見たのだけれど、
若い彼が演じる柳吉は
とても素敵で、彼の圧倒的な演技力が
このドラマの大きな魅力だった。

でも、なんだか気になって、愛おしく
最も自然体で、人間らしく
その時代を生きた人を
肌で感じさせてくれるような
活きたキャストは
蝶子の父役の火野正平ではなかったかと思う。

もう一度、このドラマを見たいという思いと
早くこの余韻から抜け出したいという思いが
今、せめぎあっている。