いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

TOKYO5 ~自制心~

東京にて、あらためて感じたこと。
それは、都会の人の強い自制心である。

どこにでかけても、みんなが同じように接してくれる。
レストランでも、観光スポットでも、空港でも、ホテルでも、コンビニでも。
相手によって、態度や表情を変えることなく、淡々と事をなす人々。
かといって、それが冷たく写るわけではない。
どこにいても、いい距離感の心地よさ。
自分の感情を鎮め、自分のお役目を静々と実行している都会の人たちの姿に
私は小さな感動を覚えた。

大学時代を横浜で過ごした私は、都会の人たちの
このクールな態度にいつまでも慣れることができなかった。
自分を押し隠し、静かな笑みをたたえる
この人たちが、何を考えているのか分からず
どうして、自分というものを出さないのかといらいらした。
今思えば、私の言う「自分」とは悪感情だったのではないだろうか。
不満や怒りや嫉妬の感情を外に出さず
いつもスマートな対応をする都会の人を
「本音のところは、違うんでしょ!?」といつも思っていたからだ。

でも、今ならわかる。
都会で、多くの人が住む町で、自分が望む生活をしようとするなら
自分を主張し、感情を外に出さず、自分を抑えることが
最も手っ取り早いことなのだと。

大勢の中で、自分の意見が通る可能性は、少ない。
感情をそのまま表に出せば
今にも、今後にも影響が出る。
つまり、トラブルばかりで先に進めないのだ。
それならば、まずは相手に道を譲り
譲ったあとの広くなった道を歩く方がどんなに効率的だろうか。

人の少ない田舎に住んでいると
都会に比べ、説得する相手が極端に少なくなる。
望む生活をするためには
自己主張して、相手をねじ伏せた方が早いことだってある。
そんな安易な道を進んでしまっていると
知らず知らずのうちに自制心は衰え
自分の感情は、野放し状態となる。
悪感情はかごの中から飛び出し、トラブルを作り出していく。

田舎のスーパーや、コンビニ、レストランなどで
時々感じる居心地の悪さは
悪感情を野放しにしたままの
店員や客であふれかえっているからかもしれない。

都会より田舎の人の方が素朴で、温かくて、親切だ。。。
これって、本当だろうか?
田舎の人は、自分に対しても相手に対しても
無意識に、なあなあで、ただ何となく、ずるずると
甘えを許しているだけではないだろうか。

都会の人の、甘えのない凛とした姿に
ここのところ感情を放し飼いしていた自分を
深く恥じ入ったのであった。
東京にて、あーー反省の、43才。