いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

わが家のジェントルマン

先日読んだ本に、イギリスでいう「ジェントルマン」とは
寮生活の学生時代を送った人のことをさすのだと
書かれていた。

ということは、わが家にもジェントルマンがいる。
夫である。
彼は、高校三年間、寮生活を送った。
工業高校の男ばかりの寄宿舎で。。

妻である私がいうのも何であるが
夫は、なかなか思いやりのある人だ。
私の知っている人たちの中で
フォロワーシップを持ち合わせた
数少ない人材である。

夫は、掃除を厭わない。
年末の大掃除の時などは
そこまでしなくても、、といいほどピカピカに磨く。
こどもが体調を崩し、嘔吐した時も
一瞬も二瞬もためらう私を尻目に
表情ひとつ変えず、さっさと処理する。
息子がおねしょをした時も
率先してシーツを洗いふとんを干す。
さも、当たり前のように。。

輪に入れず寂しそうにしている人や
集団から厭われそうな人に
さりげなく声をかけ、場の雰囲気を和ませたりするし
時には、自ら、率先していじられ役になったりする。
損得勘定に長けた私は、
結婚当初、夫はずいぶん損してるんじゃないかしら?
と思って、勝手にやきもきしていたけれど
夫自身は、二番手が居心地がいいのだとか
誰かがしなきゃいけないことだからとか言うので
これが夫のもともとの性格なのだろうと
だんだん気にも留めなくなってきた。

だけど、この「ジェントルマン」のことを知ってから
夫を見る目がちょっと変わった。
彼のこの性格は、生まれつきのものだけでなく
寮生活の経験から得たものが多くあるんじゃなかろうか。
そして、彼への尊敬度がちょっと増した。

親元を離れ、先輩後輩間の、時に意味のない秩序の中で
空調設備も、テレビもなく、プライベートな時間も
ほとんどない寄宿舎で
三年間を夫がどんな思いで過ごしてきたのだろうかと
想像してみた。

私なら、絶対、ムリ、ムリ、、
その寮生活があってこその夫だと思うと
私は、彼の母校の寄宿舎に感謝してもしきれないほどである。

と、かなり、夫のことを持ち上げてきたが
おとといの日曜日の夜。
家族で「真田丸」を見ていた。
ふと横を見ると、昼間の疲れと、酔いが重なった夫は
口を開けて、かなり間抜けな顔で眠っていた。
娘と息子は、きゃっきゃと喜び
その間抜け顔をシャッターに収める。
時刻は、まだ夜の8時30分。
これもまた、ジェントルマンの真の姿である。