いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

家中の人々

土曜日NHKスペシャル「車中の人々」を見た。
道の駅など無料の駐車場の車をとめ
その車内で生活する人たちを追ったレポート。
胸がぎゅっと締め付けられた。

いろんな理由で、社会から取り残されたり
自らその社会から逃れたいと思う人たちがいる。
社会からの疎外や逃避の孤独感が
移動可能な車での生活という
小さな空間にその全てが表れていた。

この現象は、今の日本の状況の象徴である。
映し出された車内の生活感や人々の表情は
今の日本人の心そのものである。

戦後、日本は一貫して
困った時、誰かに助けてと言えない社会を
作り上げてきたのではないか。
間違った個人主義、間違った自己責任論が
子どもの頃から、学校という場所で、押し付けられてきた。

オールマイティに何でもできる人間、一人でできる人間
誰にも頼らず物事を成し遂げられる人間を高く評価し
欠点や短所をなくす努力を強いるのがこの国の学校である。

欠点や短所のない人間など絶対いない。
それを克服することなど土台無理な話。
しかし、子どもたちを、精神論でごまかし、うそぶき
欠点や短所は努力次第で何とかなると
この国は学校で子どもたちにそう教えてきた。
あまりに罪深い。

車中の人々だけでなく
引きこもりなどの
家の中で暮らしている人も
心の中は、車中の人々と同じである。

道の駅だけじゃない
日本全国あらゆる場所に「車中の人々」は存在している。
彼らと私たちは地続きだ。