いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

試されている

上手く言えないけれど。
私たちはきっと、試されている。

ロードサイドには、大型店が次々と出店している。
人口増加のないこの街で、限られたパイを奪い合っている。
このデフレ下、手を伸ばせばあらゆるものを安価に手に入れられるようになった。
そしてその機会は身近なところにいつもある。
大量の品物に埋め尽くされた店内で買物をする人たちは
まるで、羊飼いの手で柵の中に追いやられた羊の群れのようだ。

スマートフォンの出現により、以前にも増して
あらゆる情報を苦もなく、簡単に得ることができるようになった。
大量の情報を楽しんでいるかのような消費者もまた
追いやられた羊たちである。

田中大臣は結局新しい大学の設置を認可した。
望めば、誰でも大学に入れる時代になった。
学力とは関係なく、望めば大学生になれる。
そのための箱は、社会が十分に用意をしてくれた。
大学生になることのみが主眼となってしまった学生もまた
追いやられた羊たちである。

そこにはそして必ず、羊飼いが存在している。

便利な世の中になった。
簡単に、安価に、最小の努力であらゆるものを手にすることができる。
そんな世の中で、私たちはかつてない試練にさらされているのかもしれない。
一見して外圧がないかのような世界で
私たちはきっと、至上の精神性を試されている。