いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

ごみ箱

人は、みんな心の中に自分のごみ箱を持っている。
そのごみ箱に、日頃の愚痴や不満をためている。
そのごみ箱には、ちゃんと底があり
どれだけでも入るというわけでもないし
自動的に掃除してくれるわけでもない。
ごみ箱の中のごみは、何らかの形で排出する必要があるのだ。

私にとってその排出方法は
手っ取り早く、誰かに聞いてもらうことだった。
ごみがたまってくると
ふつふつとした何かがわき上がってくる。
誰かに聞いてもらって、早くごみ箱を空にしたい!
こんな時、聞き役は、たいてい夫となる。

「今日こういうことがあって、すごい腹がたった〜」とか
「こんなこと信じられる〜?もう絶対おかしいよね」とか
たまったごみををどんどん排出していく。
ごみをはき出している間、自分の中のごみ箱が
空っぽになっていく感触を確かめている。
空っぽになったのを確認し、ようやく掃除が完了する。

いつかもそうして、ごみを掃き出していた時
私は、ハッとした。
私は、自分のごみを
自分のごみ箱から夫のごみ箱に移しているだけではないか。。
自分のごみを夫の耳から投げ入れている私。。

自分のごみに加え、私のごみまで投げ込まれた
夫のごみ箱の中のごみの今後のことなど
これまで想像だにしなかった。。

今までのように夫を安易にごみ箱扱いするのはよそう。。
私は、ちょっと決意し、ごみの新たな排出方法を考えている。

だけど、時には、やっぱり、夫をごみ箱にしたいときもある。
そういうときには、私も夫のごみを受け入れるごみ箱となる。
以来、愚痴や不満を言い合う二人の姿は
互いのごみを互いのごみ箱に投げ合って、遊んでいるように思え
心のなかで、ふふっと笑えてくる。