いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

堕落論


図書館で古い文庫本を借りた。
坂口安吾堕落論

少し前、朝日新聞にある作家が堕落論を紹介されていたのが
気になり、手に取ってみることにしたのだ。

坂口安吾」名前だけは知っていた。
その作品に触れたことはなかった。

思想家というものに憧れて、その類いの本を読んでみることがある。
例えば、吉本隆明とか、小林秀雄とか。
分かろうと思って読む。
分かりたいと思って読む。
分かったふりをして読む。
その時は何となく分かった気がするけれど
彼らの文体に酔っているうちに
いつしか言葉は上滑りし、空をさまよう。

けれど坂口安吾はなにか違った。
何がちがう??
まだ上手く言葉にならない。
思想ではなく、思考でもなく。
感覚が、その文章の感覚が手のひらの上にある。

彼が何を言わんとしているのか
それが分かる。
感覚として。
言葉を理解するのではなく
言わんとする感覚を理解できる。

この本に出会わずして、人生が終わっていたら。。。
まったく大損である。