いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

白い弁当

出来上がった弁当は、白かった。

今朝、いつものように夫と娘のお弁当を作った。
出来上がって、はっとした。
しっ、白い!!
今日の弁当は、白いーー。

それもそのはず、お弁当のおかずは
シュウマイ、干し大根の煮物、ポテトサラダ。
色づけにと入れた茹でブロッコリー
それらの食材の白さを余計に際立たせている。

結婚して十数年、お弁当を作ってきたが
はっきり言って、ちっとも上達しない。
お弁当に入れる食材も盛りつけも
我ながら工夫が足りないと思う。
若い頃、見た目も味もいかにもおいしそうな
お弁当が作れたらいいなと、人並みに
お弁当の本を買っては見たものの
パラパラっとめくっておしまい。
朝の忙しい時間に、こんなのムリムリ。
お弁当に関しては、ことあきらめが早かったように思う。

食べられればいいのよ、食べられれば。
私のお弁当は、そう訴えているかのような装いである。
そんなお弁当に対し、夫や娘は何も言わない。
私が見栄えの良いお弁当作りをあきらめたのと
同じように、彼らは私のお弁当をとうにあきらめているんだろう。

しかし、今日のお弁当は、白すぎた。
お弁当を見て、いつもはぐっと言葉を飲み込む様子の娘だが
さすがに、クレームが入った。
「なんか、今日のお弁当、白いよね。」

あっ、やっぱり、ばれた!?
いや、ばれたとか、そんな問題じゃないか。
見てすぐに分かるもの!
あわてて、たまご焼きをつくってお弁当の端っこにつめた。
これで、お弁当の中に黄色が投入された。
そして、たまご焼きにケチャップをかけて、赤色投入。
いかにもつぎはぎだらけのお弁当を見て、苦笑いしながら
夫と娘は、家を出た。

苦手なことを克服しましょう、努力しましょう。
学校で教わってきたことに間違いはないけれど
人生そう長くはない。
だってもう、人生折り返す時にさしかかった。

なかなか克服できない
苦手なことや嫌いなことは
早々にあきらめるほうが
有効な場合だってある。
自分があきらめれば
周りもあきらめてくれることもわかった。

年を取ったから、わかること。
年を取ったから、開き直れること。
こどもの頃、あんなにどうしようと悩んだことが
実は、なんてことないんだと大人になって分かることが
訪れるたびに、年を取るのも悪くないなあと思うのである。

まあ、それもこれも、お弁当を始め
私のできないことをあきらめてくれている
家族のおかげである。
今日の白い弁当は、まさしくその象徴だったなあ。