いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

マドレーヌ

バレンタインデー。
めんどくさがりの私にとって
手作りなんて、もってのほかである。
不器用で、料理不得意の私が
主婦という立場上、3食分キッチンに立っている。
ほとんど義務感から料理を作っているというのに
そのうえ、お菓子を手作りするだと!?
そんなの、無理、無理。
買った方が、経済的だし、おいしいし、と。
女子らしからぬ考えの持ち主である。
(こう言うときは、おばさんもはばからず、女子と言うのよ!)

ところが、である。
うちの中2の娘が、手作りをするというのである。
食べること専門特化している娘が
ひとりで作れるはずがない。
当然ながら、この私を使おうとしているのである。
手作りよりも、買ったもののメリットを
彼女にこんこんと教え聞かせるも
娘、どうしても「買う」と言わず。

一方、どうしても作りたくない、私。
台所仕事をこれ以上増やさないでくれと
懇願しそうになった。

しかし、私は主婦であると同時に母親であった。
結局私は、娘の意見を尊重し、手伝うことになった。
そして、ものは、「マドレーヌ」

予想通り、私は、ヘルプどころか、ほぼメイン。
さんざん、こき使われたあげく、洗い物までするはめに。
しかし、たまのお菓子作り、これがなかなか楽しかった。
台所に、しょうゆや味噌やだしのにおいでなく
甘ーい香りが漂うのもなかなかいいものだ。

オーブンで程よく焼き上がり
部屋中に立ちこめるマドレーヌのいいにおいに
ひとつ、お味見を!と思いきや
なっ、なんと、
娘と来たら、友達に配るぎりぎりの数しか
作らなかったというのだ。
味見もしないまま、人にプレゼントするというのだ。

信じられない!!
おいしくなかったら、どうすんのよ!
塩と砂糖を間違えてたら、どうすんのよ!
生焼けだったら、どうすんのよ!!
人にあげるときにはね、余分に作って
ちゃんと味をみてから、渡すのが常識なのよ!
と、娘にさんざん説教しながら。。。

ほんとは、いちばんマドレーヌを食べたかったのは
他ならぬこの私であることに、薄々気づいていた。
あー、食べたかった、悔しー!!
こんどは、自分のために手作りしてやるうーー。