いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「玉磨き」三崎亜記

 

本物の物語の力が、ここにはある。

三崎亜記、すごい。

 

子どもの頃に読んだ

ちょっと怖かった童話や民話。

普段はすっかり忘れているのに

何かの瞬間、ふと、思い出すことがある。

この本は、そんな物語本である。

 

人間社会を上から見、下から見、

右からも左からも斜めからも見たら

忽然と浮かび上がってきた

不思議なのに

それでいて、なぜか現実感を感じる6つ物語。

 

本を開いたその時から

本を閉じる最後の瞬間まで

徹頭徹尾、著者の世界が広がっている。

今の混沌とした社会を生きる大人のための童話だと思った。

 

きっと、これから先

グリム童話遠野物語のように

ワタシは、この「玉磨き」の6つの物語を

何度も思い出すに違いない。