いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

株主総会

先週、株主総会なるものに初めて行ってきた。

10年ほど前、興味本位で株を購入した。
地元では数少ない上場企業の株を。
株主優待の楽しみと、株価の値上がりを楽しみにして
当時、私のなけなしのへそくりの20数万円をそれに当てた。
しかし、途中、リーマンショック東日本大震災の影響で
株価は低迷、おまけに楽しみにしていた株主優待もなくなってしまった。
売るにも売れず、そのまま保有していたが
ここにきて、ようやく買った時の値段に戻り、ホッとしている。

6月に入り、株主総会の時期。
この時期には総会案内通知が必ず送られてくるが
これまでは仕事をしていたから
株主総会に出席したことはなかった。
しかし、今年は仕事をやめて時間がある。
よし、参加してみよう!
物見遊山でいそいそと、たった一票の議決権をひしと握りしめ
総会会場へと向かったのだ。

会場に入り、あたりを見回す。
少し広めの会議室のような場所に
150人ほどの株主が集っていた。
ほとんどはリタイアした年齢のおじいさん。
それと、現役サラリーマンらしき中年男性。
ちょっと上品に白髪をパープルに染め上げたおばあさんグループ。
ふむふむ、株主とはこんな人たちなのだとまるで人ごとのように
あたりを見回した。
社長が、会計報告を読み上げ、議案の提示をしている。
「異議なし!」という一声は、やっぱりお決まりなのだと
妙に感心したりもした。

総会終了後は、工場見学がセッティングされていた。
そして、そこで私は、ガツンとやられてしまうのだった。
閉ざされた屋内で、工程に従い黙々と作業をする従業員の方達。
それに引き換え、わずか20万円ほどのお金を出しただけで
株主と名乗り、大上段から構えた風情で見学して回る私。
それを天から見たとしたら。。。。
資本主義とは、こういうことだったのか。
生産の現場を経験したことのない無知を恥じいった。
そして、資本主義の次の時代がくることを願わずにはいられなかった。

見学終了後、株主には昼食が用意されていた。
地元の老舗ホテルのお重を頂きながら、会社の努力が
こういう形で還元されることにひどく抵抗を感じた。
会社は株主のものではない。
会社は従業員のものである。
けれど、この国の今の時代に生きていることは
まぎれもない事実である。
帰り際、頂いたお土産の和菓子を手に
なんとも複雑な気持ちで家路に着いた。