いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

遠くはない話

先日、美容院へ出かけた。
年の瀬に、髪を切るのは、大事な行事。
こざっぱりして、お正月を迎えることは
こどもの頃からの習慣だ。
しかし、年末に髪を切ると
「お正月がくるので、髪を切りそろえました!!」と
言わんばかりで、なんだかかっこ悪いし、
年末ギリギリの美容院は、ただならぬ混雑である。
なので、ここ数年は、一足はやく、12月半ばに髪を切ることにしている。

そうして出向いた行きつけの美容院。
ふと見上げると、店先に大きな垂れ幕がかかっている。
そこには、サービス料金が掲げられていた。
どれどれ、ふむふむ。
平日限定、50才以上 ◯◯◯◯円
平日時間限定 学生 ◯◯◯◯円
 etc。etc。

若い子や、年輩の人はいいわよねえ。
時間がある上に、料金だって安くって。
ちょうどその狭間にいる私の年代は
いろいろと物入りだって言うのに
こういうサービスには、該当しないんだから
あー、ついてないわよねえと
ひとり、ぶつぶつ心の中でつぶやいていたら
ふと、気づいた。

ちょっと、待って!!
50才なんて、もう眼中に入ってるじゃないの!!
自分とは関係のない、遠い遠い先の話だと
思っていたけれど
実は、そう遠くない話なのだ。
数年後、私は、否が応でも
平日限定サービス料金対象のお客様になってしまうのだ!

50代以上の人って恵まれてるわよねという
さっきまでの小さな嫉妬は
その瞬間、冷たい北風にピューっと吹き飛ばされた。
そして、その北風は
店先にたたずむ私の心の中で
吹き荒れたのだった。
美容院の前で、心の中から身震いしそうになった2014年師走の私。
これでは、寒すぎる、寂しすぎるう~。
私は自らを鼓舞し、声にならぬ雄叫びをあげながら
美容室のドアを開けたのであった。
私は、まだまだ、正規料金のお客様!!
カラーだって、白髪染めじゃないんだから!!