いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

本物のかっこよさ

この数ヶ月で、やたらと白髪が目立ってきた。
毎朝、化粧をしながら鏡を覗き込むと
今や、しみやしわより白髪が気になる。
自分の老いに向き合うのは、なかなか難しいものだなあと
思いながら、ふと、ある人のことを思い出した。

20数年前、同じ職場だったその男性は
男の人にも女の人にも好かれる
気さくで、面倒見がよくて、とても優しい人で
私も大好きだった。
外見は一昔前の濃い系の俳優さんの顔。
その頃には、少しずつ塩系の顔がもてはやされるようになっていたが
イケメンには間違いない。
古くさいけど、色男って感じのひとだった。

その色男が20年後、なんと、ものの見事に禿げてしまった。
そのうえ、ものの見事にお腹でっぷりのおっさん体型になってしまった。
普通の人なら、笑うに笑えず、本人の前では素知らぬ振りをしてしまいそうなときでも
その色男の性格を知っている人たちは、誰もがその変身ぶりにツッコミを入れる。
しかし、その色男はそれを平然と受け入れる懐の深さを持っている。

周りの人たちにさんざん突っ込まれながら
彼は笑いながら、こう言ったそうである。
「今の自分も結構気に入ってるんだよね」
こんなことをさらっと言って退けられるなんて、なんかすごすぎて感動してしまたt。

この人がみんなから好かれる理由がはっきりと分かった。
彼の優しい性格は
自分を丸ごと受け入れるこの強さから来ているのだ。

20年後、こんな形でかっこよさを見せつけられるなんて思ってもみなかった。
本物のかっこよさは、揺るがないのだ。