いのししのひとりごと

ワタシノトリトメナイハナシ

「最高の体調」鈴木祐

 

 

「最高の体調」というタイトル名だけを見て

食生活や栄養に関する本だと思って、手に取ったのだが

そんな安易な予想は、読み始めた途端に覆される。

 

本著は、人類の歴史、人間の脳や体の仕組み

現代社会のストレスや、いま私たちに起きている現象を

ひとつひとつ取り上げながら

現代人が体の調子を整えるために必要なことは

体を動かし、心を整えることだということを読者に繰り返し訴える。

 

第1章「文明病」

第2章「炎症と不安」で

現代の社会環境が私たちに及ぼす弊害を

歴史的科学的視点から具体的に知ることができる。

ここで、しっかり現状を認識したあと

次章以降は、体調を整えるための実践的ガイドとなっている。

 

第3章「腸」

第4章「環境」

第5章「ストレス」

第6章「価値」

第7章「死」

第8章「遊び」となる。

 

3章以降のテーマを見るだけで

体の調子と心の調子が不可分であるという

当たり前のことに気づく。

 

第1章のタイトルどおり

現代人が「文明病」に侵されているのなら

文明的でないものに身を置く時間を増やすことである。

そうして、私たちが本来持つ「心」を取り戻していくことが

大事だということだろう。

最終章のタイトルが「遊び」というのが

現代人がいかに病んでいるのかを物語っているような気さえしてくる。

 

心を整えるための方法として

マインドフルネスや価値評定スケールなどの

学問的手法を紹介する傍らで

日々の生活に気軽に取り入れられる方法も多く紹介されている。

 

例えば、自然やアートに触れ「畏敬」の念を持つことの大切さには

誰もが納得するだろう。

だけど、その「自然」に触れることが状況的に難しければ

デジタルという文明を逆手に取り、「自然」の映像を楽しむことだっていいと

筆者は言う。これなら、よいしょと重い腰を上げずとも

日常の延長でできてしまう。

 

最高の体調を得るには、当たり前だが一朝一夕にはいかない。

この食品が体にいい。。

このサプリで健康に。。

なんてことがありえないように、人間の体は単純ではないし

かといって、ちょっとしたきっかけで、心や体は良くも悪くも変化する。

 

体のケアの大切さを改めて考えるきっかけとなる1冊。