後期高齢者、ひとりで暮らしている母。
先日、その母が、こう言った。
「新聞代もったいないからさあ、新聞、や・め・た。」
ワタシの実家がある町は
人口は減少の一途をたどっている。
昔は、家の近所に数軒あったお店も
今では、1軒のみとなってしまった。
買い物するには隣町に行かなくてはならないが
そこに行くためのバスは
2時間に1本しかない、、そんなところである。
だから、ちょっと心配したのだ。
新聞をやめて、世事から遠ざかったら
ひとり暮らしの老人(=母)は
一日中テレビばかりぼーっと見て
頭がぼけてしまうのではないかと、、
しかし、そんなことは、まったくもって杞憂だった。
母が新聞をやめて、ひと月ほど経った頃
実家に顔を出した。
ワタシが「新聞やめたら、テレビばっかり見てるんじゃない?」と
探りを入れてみると
母曰く「それがさあ、テレビ全然見なくなったんだよ」
え?
ホント?
だけど、理由を聞いて、至極納得した。
新聞を取っている時まで
母は、テレビ番組の情報は、新聞のテレビ欄から得ていた。
新聞をやめてしまった母は
当然、テレビに関する情報を得ることができなくなってしまった。
情報がないので、テレビへの興味や関心がすっかり薄れてしまったという。
そして、今や、母の情報源は、youtube。
趣味である家庭菜園や洋裁のチャンネルを検索しては
日々、有益な情報を仕入れ
仏教関係のチャンネルで、お坊さんの説話を
ラジオのように聞いている。
今や、新聞の購読者は減り
テレビは視聴者が減っていて
どちらの業界も死活問題である。
もうずいぶん前から
若い人は、新聞を購読しない人が増えたし
テレビを見ない人も増えた。
新聞やテレビは、すっかり高齢者のメディアと化している。
だけど、高齢者(=母)が
新聞の購読をやめたら
次には、案外、あっさりテレビを捨てるのだということを知った。
そして、その高齢者が
おもしろい、おもしろいと
YouTube沼にどっぷりはまっているのを目の当りにしたら
新聞やテレビの危機は、思っている以上に
すぐそこまで来ているよなと思った。