子どもが通う学校にムラウチ先生がいたらいいなと思った。
ワタシが通った学校にムラウチ先生がいたらよかったなと思った。
学校だけでなく、ムラウチ先生のような大人が
子どもたちの周りにいるといいなと思った。
ワタシが子供の頃にムラウチ先生のような大人が
周りにいたらよかったなと思った。
ムラウチ先生は、国語の先生。
非常勤の先生として、問題を抱えた子供のいる学校に突如現れる。
ムラウチ先生は、ドラマや映画で描かれるような
快活で、やる気がみなぎり、生徒を指導する熱血教師とは、真逆のタイプである。
見た目も冴えず、吃音がひどく、授業にも支障がある、それなのに国語の先生。
子供たちは、はじめは、ムラウチ先生の外見で、彼を蔑むのだが
吃りながら話す先生が、ほんとうに伝えたい言葉だけを発しているということに気がついていく。そうして、先生の存在が、子供たちの傷ついた心を癒やしていく。
子どもたちは、いろんな思いを抱えている。
けれど、その思いを表現するだけの言葉や態度を持たず
自分の中でわけが分からず、悶々とする。
逆に、いわゆる大人は、言葉や態度は獲得したが
それを本当に必要なことを伝えるために使っているかといえば
それは否だろう。
いま、ワタシたち大人は
言葉や態度という人間としての大切なコミュニケーション手段を軽んじ
間違った使い方をしているのではないか。
間違った使い方とは、人を貶め、欺くために、言葉や態度を利用しているということ。
本の中で、ムラウチ先生は、大切なことを
読者に伝えようとしている。
子どもに寄り添うこと。
子どもたちに教えることは正しいことではなく、大切なこと。
子どもがやりたいと思ったことは、何をさておき、優先すること。
子どもが嘘をつくのは、ひとりぼっちになりたくないから。
などなど。。
この本は、ワタシにとって
大人とは、どういうものかを教えてくれた大切な一冊である。