人生にお金は必要だ。
多くの人は、お金があれば、多くの苦難を避けることもできると思っているし
お金があれば、幸福な人生が送れると思っているし
お金があれば、お金で解決できる人生の不安から解き放されると思っている。
そして、そう考えるのは、お金への不安を抱えているからである。
世の中には、お金を稼ぐ方法、お金を貯める方法、お金を増やす方法の本が多数ある。
ほとんどのそれは、お金の不安を抱えている人への処方箋みたいなものである。
御多分に漏れず、ワタシもそれらの処方箋をたくさん読んできた。
だから、お金を使いなさいというこの本は、ショックだった。
人生を豊かにするお金を「使う」ことではなく「ためる」ことに
人生の重点をおいてしまったら、いったい何のためのお金なのだろう。
お金を稼ぐための自分の時間から、お金を使うための自分の時間への移行が
人生を後悔なく、充実したものにする。
ふむふむ、本当にそうだなあと思う一方で
やっぱりこれは、お金持ちだから言えることではないのかという疑問がわく。
お金を使うためには、そのもととなるお金が必要なのであって
最初からお金がない人はいったいどうすればよいのか。
本著を読みながら、疑問がわく。
この本は、お金持ちのためのお金の使い方の本で
庶民向けの本ではないのではないか。
読み進めると、そうではないことがわかる。
資産家の家庭にでも生まれない限り、そこはやはり、自分で働いて
資産を作らなければならない(著者もそうだった)
ある程度の資産を作り、自分がどのように生きたいのかを考え
それからお金を使う。
そのお金の多寡は、その人の望む生き方に沿えばよく
誰もが、莫大な資産を作り、豪華な人生を送ることを勧める本ではなかった。
不景気が続くこの日本で、節約や貯蓄ばかりが注目を浴びるのは当然だが
「お金」の本質に立ち返るには絶好の本だと思う。
生きたお金の使い方は、人が生きているうちに。