毎日新聞の人生相談が、面白い。
読者の悩みもいろいろなら
多彩な回答者が繰り出す回答もいろいろで
毎回楽しんでるけれど
とりわけ、心待ちにしているのは
この本の著者である、ヤマザキマリさんの回だ。
歯に衣着せぬ具体的でストレートな回答もあれば
ちょっと考えさせられるような哲学的な回答もある。
悩む読者に対して
もっとしっかりしなよと、お尻を叩くかと思えば
大丈夫だよと、肩を抱き寄せる、、
読んでいて、そんな感じを受ける。
この人は、どうして、こんなに
どっしりと肝の据わった回答ができるんだろうとずっと思っていた。
その理由が、この本を読んで、よく分かった。
本著は、著者のちょっとした自叙伝である。
幼少期から、漫画家、著述家として活躍する今までの
経験や出来事が書かれているが
本当に怒涛の人生で、びっくりしてしまう。
荒波を乗り越えた強さと
それでも生きることをあきらめなかった自信が
人生相談の潔い回答を生み出すんだなあと思った。
生きるためには仕事をしなければならないけれど
その仕事に生き方をしばられる必要はない。
口では簡単に言えそうだけど
チリ紙交換から漫画家まで、その時々の波をつかまえ
波に乗ってみて今がある著者の口から発せられると
その重みが全然違う。
人生、うまくいくことばかりじゃないし
いやいや、うまくいかないことのほうが多いけれど
生きることに希望を感じる、そんな本だった。